Memento


「Memento」は、CYENS - Thinker Meker Spaceのレジデンス・プログラムで制作されたプロジェクトです。

 

この作品は、コンピュータビジョン(外部の画像や情報をコンピュータが処理する技術)とコンピュータグラフィックス(コンピュータ内のデータを人間の目に見える形にする技術)といったインタラクティブ技術への関心に基づいています。キプロスで収集されたオブジェクトをスキャンして作成された3Dモデルのデータが、コンピュータ内でワイヤーフレームモデルに変換されます。これらのモデルはその後、3Dプリントされることで現実空間に再物質化されます。これは、視覚から得られる情報において脳が境界を強調する傾向に着目し、目の前の三次元空間を最も基本的な表面要素である三角形を用いて表面ベースの世界を再構築しようとする試みです。

 

キプロスで見つけた猫の置物を3Dスキャンして得られた3DモデルデータをPCの画面で見たとき、それはリアルであるように感じられる一方で、どこか現実感に欠ける印象を受けました。これは日本から遠く離れ、異なる文化や社会に触れた私のキプロス滞在そのものを象徴しているようでした。これらのスキャンをデジタル技術を用いて具体的な作品へと変換することで、滞在中に感じた感情や出会った人々を捉えつつ、現実の認識や周囲の世界の捉え方を探求することを目指しています。


3Dプリント樹脂、糸、UVライト、 既製品

Memento [Agora Exhibition Space (CYENS)・ニコシア、キプロス] 2024
Photographer: George Dimoglou
Photos Ownership: CYENS Centre of Excellence